国東市の上国崎地区で行われている「あらたにカフェ」を八幡コミュニティ運営協議会は12月22日に視察研修しました。
上国崎地区は、国東市のほぼ中央で東西に約10㎞(八幡地区は直線で綾垣から古後まで約12㎞)の細長い範囲の地区で海抜100mから700mの地域にあります。西側の標高の高い所は国東半島の両子山の山地になります。人口は389人(八幡地区:1605人(令和2年度))、高齢化率62.7%(同:51.8%)です。
上国崎地区で取り組まれている「あらたにカフェ」は月14回開いています。毎週火曜日から金曜日までの9:30~11:30に開いており、1日平均15人、多いときは20人を超え、少ない時で10人を割る程度の利用客があります。場所は、上国崎地区公民館を使用しています。
同地区は、平成21年3月末に地区内にあった小学校、中学校が同時に廃校になってしまったことから、3年後に「上国崎地区社会福祉協議会」を発足し、平成28年に「地区社協あらたに会」を発足、支え会い活動を住民で取り組むようにしました。「あらたに会」が発足した1年間に、講話や研修などの学習、視察、ニーズ調査を集中的に実施し地域内の意識を高めたのちに、12月から3月に「「あらたにカフェ」の模擬実施等の準備期間を経た後、平成29年4月に「あらたにカフェ」を稼働、本格的な開設に至りました。
「あらたに会」の活動は、「カフェ」以外は八幡地区と同様に、「ちょい加勢(かせ)」、「食事」、「レクレーション」、「送迎」と形は違えど同じような取り組みをしています。「カフェ」が活動の中心となって、食事、レクレーション、送迎、買物支援が行われている印象でした。
同地区が「カフェ」に取り組んだのは、平成28年の7~8月にかけて取り組んだ、全家庭を対象としたニーズ調査によるものが大きいです。ニーズ調査は2人1班で組んで全家庭を訪問しています。質問項目の中に「気軽に立ち寄れる場があったら利用してみたいと思いますか?」の回答に、「ぜひ利用したい」、「機会があれば利用したい」の合計が全体の58%とコミュニケーションを望む声が強かったことからです。
ニーズ調査は地域の住民の困りごとの調査だけでなく、地域住民のつながりに効果があり、「カフェ」の利用客が多くなったことにつながっています。
「カフェ」はスタッフ3名で交替で行っており、スタッフの順番は月に1回程度です。利用料はコーヒー1杯100円です。
始めた当初は利用客がやや少なかったようですが、地域内の会議の場所としての利用などと絡めたり地域内で話し合いで工夫して利用客が増えていったようです。今では火曜から金曜はいつでも開いていることから、地域の方のちょっとした寄り合いの場所、役所や郵便局の用事などのときに立ち寄るなど、生活の一部として定着してきています。
同地区は、急速な高齢化の進行、若者世代の減少などの最中にあり、「あらたにカフェ」を中心に住民がつながりを深めながら、地域づくりを進めています。